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大村 彩子; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Proceedings of Joint 20th AIRAPT - 43rd EHPRG International Conference on High Pressure Science and Technology (CD-ROM), 3 Pages, 2005/06
イットリウム(Y)の水素化物は、金属格子中の水素数によって多彩な物性を示す。この物質では、2つの絶縁体と金属間の転移がある。まず、一つめが金属でfcc構造の2水素化物から絶縁体でhcp構造の3水素化物への転移である。この金属-絶縁体転移に関して理論研究がされており、バンドギャップの形成は金属のd軌道と水素のs軌道の混成によるとの推測がある。もう一方は、絶縁体の3水素化物で見いだした圧力誘起金属化である。Yの3水素化物における金属化もまた、理論計算からおよそ15%の体積減少で生じることが推測されていた。われわれは高圧力下で合成した試料を用いて赤外分光測定を行い、3水素化物の絶縁体-金属転移を圧力23GPaで初めて見いだした。Yの3水素化物が圧力10GPaから20GPaの領域でhcp構造からfcc構造へ変化することが知られている。金属化した23GPaは既にfcc構造への転移が完了しているために、この圧力誘起金属化は構造変化を伴わない電子転移的な変化の可能性が考えられる。
Ryan, O.*; 小田 卓司*; 大矢 恭久*; 田中 知*; 土谷 邦彦
JAERI-Conf 2004-012, p.136 - 139, 2004/07
チタン酸リチウム(LiTiO)は、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材の第1候補材として有望視されている。LiTiOからのトリチウム放出挙動を把握するため、表面における水素同位体の状態や水分の吸脱着特性を明らかにする必要がある。このため、光電子分光法(XPS, UPS)及び赤外分光法(FT-IR)を用いて、LiTiO表面での水分吸脱着特性,水素同位体の化学状態及び表面の酸化還元状態を調べた。その結果、前処理を施していない試料に対してArスパッタリングを行ったLiTiO表面は、Li, O, Tiの順に選択的にスパッタされ、Li組成比の減少,TiのTiへの還元が観察された。その後の加熱実験では、400C付近でTiの酸化,Li組成比の増加,-OHの消滅が見られ、LiTiOの価電子構造はTiOに近い状態になった。加熱後の水蒸気曝露により、水は解離吸着したが、LiOH相は形成されなかった。
鈴木 覚; 河村 雄行*
JNC TN8400 2001-005, 41 Pages, 2001/04
水-粘土混合系の分子動力学計算によりNa型スメクタイトの層間水の振動スペクトルと層間水の構造の関係について研究した。得られた計算結果は、赤外分光法によるスメクタイトの層間水の観察結果とよい一致を示した。水分子の分子内振動スペクトルは水素原子の速度自己相関関数をフーリエ変換することにより得られる。層間水の伸縮振動スペクトルには、3400cm-1に最大強度を持つ幅の広いピークと3650-3700cm-1周辺のやや鋭いピークにより構成される。前者の幅広いピークはバルク水のような水分子のO-H結合の伸縮振動に帰属され、一方、後者のピークはシロキサン表面に水素結合により配向したO-H結合に帰属される。酸素-酸素間の動径分布関数より水素結合距離を評価したところ、水分子とシロキサン表面の水素結合距離(3.0以上)は、水分子-水分子間のそれ(2.8)よりも大きいことがわかった。これらの結果は、水分子とシロキサン表面間の相互作用は、水分子を配向させる程度には大きいが、水分子-水分子間と比べると弱いということを示していると考えられる。
杉江 達夫
核融合科学研究所ニュース, (95), p.6 - 8, 1998/09
大型ヘリカル装置LHDと、大型トカマク実験装置であるJT-60Uには大型装置特有の共通点がある。そのため、この研究はJT-60Uでの経験を少しでもLHDの分光計測装置の設計・製作や、それを使った実験に役立てると同時に、JT-60Uに対してもLHDでの経験を活かすことを目的として、平成8年5月より始まった。(1)ダイバータ分光計測、(2)可視フィルター分光器の設計、及び(3)赤外領域の分光計測等の議論を行った。これまでは、JT-60Uの分光計測機器の開発経験や実験結果を参考にLHDの分光計測機器の準備に参加するとともに、プラズマ分光計測、及び分光器の設計についても議論してきた。今後は、LHDの運転が開始されたことから、分光データの解析にも参加し、JT-60Uとの比較をしながら研究を進める予定である。
中沢 哲也; 八巻 大樹; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 248, p.121 - 127, 1997/00
被引用回数:9 パーセンタイル:59.74(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、LiSiOの照射損傷の基礎的知見を得るため、120MeV酸素イオンを照射したLiSiOの光音響赤外分光(FT-IR PAS)スペクトルを測定し、分子軌道計算(MNDO)による振動計算を用いて解釈した。照射は室温において、10~10ions/mの範囲で行った。その後、照射した試料のFT-IR PASスペクトルを室温で測定した。その結果、照射前には観測されなかったPASシグナルが1050cm付近に確認された。また、MNDO法による種々のシリケイトクラスターの振動計算の結果と照射した試料のPASスペクトルの比較から、照射により出現した1050cm付近のPASシグナルはSiOシート及びSiO網目構造を持つリチウムシリケイトクラスターの架橋酸素の運動に関連した振動に帰属された。照射に起因した分解及び重合反応が照射領域で起きていると考えられる。
浜 義昌*; 浜中 建一*; 松本 英哉*; 高野 友晴*; 工藤 久明; 杉本 雅樹; 瀬口 忠男
Radiation Physics and Chemistry, 48(5), p.549 - 554, 1996/00
被引用回数:18 パーセンタイル:80.24(Chemistry, Physical)イオンビームを照射された低密度ポリエチレンの化学構造変化を顕微FT-IR測定によって調べた。主たる生成物は、トランス2重結合、水酸基、カルボニル基であった。それらの深さ方向分布はブラッグ曲線に類似するが、計算コードによる阻止能とは異なる分布形を示し、特に飛程末端付近では計算による飛程よりも深い位置まで反応が起きていることがわかった。
中井 泉*; 永野 哲志; 田口 勇*
アナトリア考古学研究,Vol.2(カマン・カレホユック2), p.15 - 24, 1993/00
当研究室では地下水・岩石相互作用に関する基礎研究の一部として、岩石中の水、鉄及び希土類元素等の化学形の分析を主に分光法により行なっている。このうち顕微赤外分光法は試料中のOH基やHOに敏感なため、金属表面の鉄さびの非破壊分析にも適している。本報は、トルコのカマン・カレホユック遺跡出土古代鉄器の自然科学的研究の一部として、顕微赤外分光法及び放射光蛍光X線分析法の適用例を示し、古代の鉄遺物へのこれらの方法の有効性を検討したものである。
中沢 哲也; 野田 健治; 石井 慶信; 松井 尚之*; 井川 直樹; D.Vollath*; 大野 英雄; 渡辺 斉
Fusion Technology 1992, p.1444 - 1448, 1993/00
核融合炉トリチウム固体増殖材料の候補材料であるLiSiOやLiAlSiOは、核融合炉の稼働中著しい照射環境に曝される。このような環境下において、これら材料内に形成された欠陥は照射された材料の性質を支配する要因の一つとなる。従って、固体増殖材に及ぼす照射効果に関する基礎情報を得るため、これらリチウムセラミックスの照射損傷に関する基礎的な知見を得ることは重要である。本研究では、酸素イオンを照射したこれら試料のラマン分光、赤外分光測定及び電子顕微鏡観察を行い、新たに得られた照射損傷の知見について報告する。このうち、ラマン分光及び赤外分光測定では、原研タンデム加速器を用いて10個/mの酸素イオン(120MeV)を照射したLiSiOについていくつかの新しい相の出現が確認された。これらの新しい相はLiSiOを構成するSiOの分解生成物と考えられ、その内の一つはSiOであることが赤外スペクトルから診断された。
長田 和男*; 永野 哲志; 中山 真一; 村岡 進
JAERI-M 92-004, 12 Pages, 1992/02
高レベル放射性廃棄物オーバーパック容器の長期耐久性評価試験の一環として、緩衝材である湿潤ベントナイト中での炭素鋼の腐食試験を行った。腐食生成物の分析は赤外分光計および色彩色差計により行った。95C湿潤ベントナイト中のものは、他の条件下のものと比較して、腐食速度がかなり大きいことがわかった。これは、95Cでは、試料に接している部分のベントナイトに含まれる水が蒸発し、乾燥することによって、隙間ができ、ベントナイトと試料の接触が不均質になって、局部腐食が進行したためと考えられる。この局部腐食した部分をフーリエ変換赤外分光光度計で分析した結果、-FeO(OH)(ゲーサイト)の他に-FeO(OH)(レピドクロサイト)も生成していることがわかった。また、色彩色差計により95C湿潤ベントナイト中の腐食生成物を分析した結果、-FeO(ヘマタイト)の生成も確認できた。
長田 和男*; 永野 哲志; 村岡 進
放射性廃棄物研究連絡会論文集 (VI), p.53 - 63, 1991/00
緩衝材である湿潤ベントナイト中での炭素鋼の測定および腐食生成物の分析を行った。40Cでは、湿潤ベントナイト中での炭素鋼の腐食速度は、同温度の純水中の場合と比較して小さいが、95Cでは、ベントナイトに含まれる水が蒸発し、内部に隙間ができることにより、局部腐食が進み、腐食の程度が大きくなったためと考えられる。この局部腐食した部分をフーリエ変換赤外分光計で分析した結果、-FeO(OH)(ゲーサイト)の他に-FeO(OH)(レピドクロサイト)もできていることがわかった。また、色彩色差計により95C湿潤ベントナイト中の腐食生成物を分析の結果、-FeO(ヘマタイト)の生成が確認できた。
鈴木 康文; 荒井 康夫; 笹山 龍雄; 渡辺 斉
Journal of Nuclear Materials, 101, p.200 - 206, 1981/00
被引用回数:12 パーセンタイル:79.98(Materials Science, Multidisciplinary)真空中あるいはヘリウムガス気流中において炭素熱還元法により二酸化プルトニウムをミニ炭化物とし、還元機構やミニ炭化物の生成速度について調べた。真空における還元の結果から約1700°kでは三つの酸化物,fccPuO,bccPuO,六方晶PuOが中間生成物として存在すると推論された。ヘリウムガス気流中での還元反応で生成するCOガスの量は赤外分光を用いて定量され、六方晶のミニ酸化物からプルトニウムミニ炭化物が生成する速度が求められた。還元反応は粉末試料については表面反応が律速であり、成形した試料では生成物層におけるCOガスの拡散が律速であることが見い出された。活性化エネルギーとしてはそれぞれ375および385kJ/molと評価された。
明地 省吾*; 平田 早紀子*; 日下 良二; 本田 匠*; 為国 誠太*; 村松 悟*; 齋藤 健一*; 平尾 岳大*; 灰野 岳晴*; 渡邉 雅之; et al.
no journal, ,
Recently, we have been performing surface-enhanced infrared absorption (SEIRA) spectroscopy of Eu complexes, aiming for clarifying the origin of selectivity of O-donor/N-donor ligands toward lanthanides (Ln)/minor actinides (MA) in radioactive waste treatments. In this study, we improved the SEIRA setup to extend the study to complexes of Am (MA), which is a radioactive nuclide. We made a new sample vessel with smaller internal volume and higher sealing ability, where we successfully reduced the radiation exposure (less than 1 Sv) during the experiment. In the actual measurement of AmDGA complex, the absorption of the C=O stretching of the amide unit was observed at 1621 cm; it is redshifted by 8 cm from the Eu complex, one of the lanthanides, which was supported by theoretical calculations.
日下 良二; 渡邉 雅之
井口 佳哉*; 平田 早紀子*; 明地 省吾*
【課題】少量の試料を密閉空間で薄く均一に広げることが可能な赤外分光分析の試料台を提供する。 【解決手段】試料Xを配置可能な試料配置面11を有する光学素子10と、試料配置面の面方向と交差する方向に貫通する試料導入孔31を有する試料保持部材30と、試料配置面に向かって突出し、試料導入孔に嵌合可能な突出部42を有する蓋部材40と、を備え、光学素子10、試料保持部材30および蓋部材40は、この順に重ねられ、試料導入孔、試料配置面および突出部の先端面42Aにより密閉空間が形成され、先端面42Aが、密閉空間に封入された試料Xを、試料配置面11に向かって押圧可能に構成される。